70坪の土地に建つ家の間取り事例 – 敷地面積と延床面積の関係を解説
住まいづくり
本稿では、70坪の土地に建つ家の間取りをご紹介します。広い敷地にゆったりと建てた「平屋」と「2階建て」の事例ですので、のんびり丁寧に過ごしたい方におすすめの間取りです。
しかし、建物自体はそれほど大きくありませんので、60坪の土地でも参考にしていただけるかもしれません。容積率さえ高ければ、もっとコンパクトな土地でも参考にしていただけます。
じつは、単純に「土地面積が広ければ、大きな家が建てられる」というわけではありません。土地の広さと建物の大きさの関係も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
70坪の土地に建つ家の間取り事例
さっそく、70坪の土地に建つ家の間取り事例をご紹介しましょう。
テラスのある平屋の家 (3LDK・SIC・WIC・畳コーナー)
まずご紹介するのは、開放的なテラスのあるモダンな平屋の間取りです。
データを簡単にご紹介しましょう。
間取り | 3LDK + SIC + WIC + 畳コーナー |
---|---|
建ぺい率・容積率 | 50%・100% |
敷地面積 | 245.03m² (74.12坪) |
延床面積 | 92.33m² (27.92坪) |
1階床面積 | 92.33m² (27.92坪) |
さて、この間取りの外観は、どんな感じになるのでしょうか?
ご覧ください。
グレイッシュでモダンな外観です。
斜めに走る壁が、玄関へのアプローチ兼外観のアクセントになっています。さらに、お庭の目隠しにもなっていて、プライバシーを守っています。
では、中も見てみましょう。LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、こんな感じです。
ダイニングを中心に、LDKをL字型に配置しました。動きのある、個性的な空間になっています。
リビングに、大開口の窓を設置しました。敷地が広いため、日照が隣家で遮られることなく差し込みます。
ダイニングの横に、小上がりの畳コーナーを設けました。カウンターがありますので、お勉強やお仕事にご活用いただけます。
敷地に余裕がありますので、リビングから出られる位置にタイルテラスを設けました。
BBQをしたり、夏場はプールで遊んだり、さまざまなシーンにご活用いただけます。車も、たっぷり4台駐車できます。
ホテルライクな2階建ての家 (3LDK・SIC・WIC・LR・畳コーナー)
つづいてご紹介するのは、シンプルで落ち着きのあるホテルライクな2階建ての家です。
データを簡単にご紹介しましょう。
間取り | 3LDK + SIC + WIC + ランドリールーム + 畳コーナー |
---|---|
建ぺい率・容積率 | 50%・100% |
敷地面積 | 245.13m² (74.15坪) |
延床面積 | 101.02m² (30.55坪) |
1階床面積 | 54.65m² (16.53坪) |
2階床面積 | 46.37m² (14.02坪) |
さて、この間取りの外観は、どんな感じになるのでしょうか?
ご覧ください。
安定感のある寄棟屋根、前面の大きな壁、しっかり面積を取ったお庭 ―― 。モダンながらも、重厚感と落ち着きのある外観です。
車も3台駐車可能です。優雅な暮らしを想像させるファサード(正面から見た外観)になっているのではないでしょうか。
では、中も見てみましょう。LDKは、こんな感じです。
直線的に並べて全体を見渡しやすくしたLDKは、奥行きと開放感を感じていただけるでしょう。
一方、冷蔵庫は直接見えないように配置を工夫しました。洗練された内装も相まって、生活感の少ない、ホテルライクな空間に仕上がっています。
大開口の窓から、広々としたお庭やウッドデッキが見えます。休日をリラックスしてお過ごしいただけるでしょう。
リビングには、3帖の畳コーナーを隣接しています。2階には、私室だけでなくランドリールームもあります。
こんなに多彩なお家ですが、床面積は約30坪で収まっています。70坪の敷地に余裕を持たせて建てた、ラグジュアリーな邸宅ですよ。
土地の広さと家の広さのあいだには、どんな関係がある?
70坪の土地に建つ家の「間取り」をご覧いただきました。いかがでしたか?ご自宅をどれくらいの大きさにすればいいか、想像できましたか?
ここからは、家族の人数と家の大きさ、そして家の大きさと土地の広さのあいだにある密接な関係について解説します。土地探しや、間取りを作成される際の参考にしてください。
家族の人数から家や土地の広さを計算する方法
さっそく、家族の人数から必要な延床面積を算出して、延床面積から必要な敷地面積を概算する方法をご紹介します。
詳しくは後述しますが、延床面積とは「建築物の各階の床面積の合計」のことです。これは、誘導居住面積水準が目安になります。
誘導居住面積水準とは、豊かな住生活の実現のために必要と考えられる面積水準のことです。世帯人数や多様なライフスタイルを考慮して、設定されています。
詳しい計算方法は、上述のリンク先をご覧ください。ここでは、計算結果だけご紹介しましょう。世帯人数ごとの「推奨される延床面積の目安」は、以下のとおりです。
- 単身:55.00m²(16.64坪)
- 2人:75.00m²(22.69坪)
- 3人:100.00m²(30.25坪)
- 4人:125.00m²(37.81坪)
- 5人:142.50m²(43.11坪)
- 6人:166.25m²(50.29坪)
この延床面積から、容積率ごとに「必要な敷地面積」の目安を計算してみましょう。
ちなみに「容積率」とは「敷地面積に対する家の延床面積の割合」のことです。建築基準法第52条で地域ごとに上限が指定されていて、上限を超える延床面積の家は建築できません。
参考:建築基準法 第52条
では、目安となる面積を表にまとめてご紹介します。
世帯人数 | 最低限必要な敷地面積(坪) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
50% | 60% | 80% | 100% | 150% | 200% | |
単身 | 33.28 | 27.73 | 20.80 | 16.64 | 11.09 | 8.32 |
2人 | 45.38 | 37.82 | 28.36 | 22.69 | 15.13 | 11.35 |
3人 | 60.50 | 50.42 | 37.81 | 30.25 | 20.17 | 15.13 |
4人 | 75.62 | 63.02 | 47.26 | 37.81 | 25.21 | 18.91 |
5人 | 86.22 | 71.85 | 53.89 | 43.11 | 28.74 | 21.56 |
6人 | 100.58 | 83.82 | 62.86 | 50.29 | 33.53 | 25.15 |
上述のとおり、世帯人数が増えるほど推奨される床面積が増えます。家の床面積が増えれば、それだけ広い土地が必要になります。
ただし昨今では、できるだけ余分なスペースをつくらず、間取りをコンパクトに設計するのがトレンドになっています。上述の人数から一人引いたくらいの面積でも、いいかもしれません。
土地の広さについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
敷地面積とは:建築対象となる土地の水平投影面積
住宅の設計では、よく「敷地面積」という用語が出てきます。とても重要なワードですので、詳しく解説しておきましょう。
そもそも「敷地」とは、家などの建築物を建てられる土地のことです。ですから、敷地面積は「家などの建築物を建てられる土地」の面積、ということになります。
容積率の計算は、この敷地面積と、後述する延床面積を使っておこないます。
では、敷地面積と土地面積は違うのでしょうか?―― 住宅の設計においては、このふたつは「違う」とお考えください。
土地面積 | 隣地との境界線で囲まれた部分の水平投影面積。土地面積の全部。不動産登記法第2条の「地積」の定義と同様。 |
---|---|
敷地面積 | 土地のうち建築対象となる部分の水平投影面積。土地面積の一部。建築基準法施行令第2条1項1号で定義されている。 |
※ 水平投影面積:デコボコや傾斜を考慮せず、水平に切り取った面積。
土地面積は「1筆、2筆……」と数えます。土地面積は、土地1筆の面積です。一方、敷地面積は必ずしも1筆すべての面積とは限りません。
たとえば土地が大きい場合、その一部を「敷地」として家を建てることがあります。ひとつの敷地にはひとつの家しか建てられませんが、土地を複数の敷地に分けることで複数の家を建てられます。
また、一定の条件に該当する土地は、敷地に含められず、家も建てられません。
たとえば、建築基準法第42条2項では、幅4m未満の道路に面する土地に家を建てる場合、原則として道路の中心線から2mまで道路と見なすと規定されています。
道路と見なされた部分は、自分の土地であっても、家や門塀などを建築できません。このルールを「セットバック」と呼び、該当の土地は敷地面積から除外されます。
家を建てる土地の広さは、土地面積ではなく敷地面積で考えましょう。
延床面積とは:建築物の各階の床面積の合計
つづいて、延床面積(延べ面積)の計算方法を解説しておきましょう。延床面積は、建築物の各階の床面積を合計して求めます。
ただし、すべての床をカウントするわけではありません。建築基準法施行令等で定められた条件に合致する床は、不算入あるいは減算できます。
一例をあげておきましょう。
- ピロティ(外気に開放され、かつ屋内的用途に用いられない部分)
- バルコニー・ベランダ(外壁からの出幅が2mまで)
- ポーチ(主に通行専用の用途のもの)
- 地階(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
- 出窓(建設省住指発第115号を参照)
- 吹き抜けの上階部分(床がないから)
- 小屋裏物置等(ロフトや床下収納など)
- 自動車車庫・自転車置場(延床面積の1/5まで)
- 防災のために設ける備蓄倉庫(延床面積の1/50まで)
- 蓄電池を設ける部分(延床面積の1/50まで)
- 自家発電設備を設ける部分(延床面積の1/100まで)
- 貯水槽を設ける部分(延床面積の1/100まで)
- 宅配ボックスを設ける部分(延床面積の1/100まで)
延床面積については、以下の記事でも解説しています。詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
土地探し中の方必見!70坪の土地に家を建てる際のポイント
最後に、70坪の土地に家を建てる際のポイントをご紹介します。これから土地探しをされる方は、ぜひ参考にしてください。
容積率をチェックして、家の広さや町並みを想像しよう
繰り返しになりますが、土地を探す際は広さだけでなく、容積率もチェックしましょう。
建築基準法では、容積率と建ぺい率、そして高さ規制によって建物の大きさを制限しています。この規定の上限を超える大きさの建物は、建築できません。
容積率は、町並みや景観にも影響します。容積率の低い地域は、敷地めいっぱいに建築できない代わりに、以下のメリットを得られます。
- 敷地内に一定の空地を確保できる
- 火災時の延焼防止や避難経路の確保に役立つ
- 日照や通風、町並みの美観維持に役立つ
ですから、住環境を重視する地域ほど容積率の上限を低く抑えています。容積率が低い地域は、日照や通風を確保しやすく、ゆったりとした町並みになります。
容積率が高い地域は都市部に多く、敷地の多くを使って建築できます。その反面、背の高い建物が建ちやすく、隣家とのあいだは狭くなる傾向があります。
どのような環境で暮らしたいのかよく考えて、土地探しをしましょう。
土地を購入する前に、ちゃんと予算計画を立てよう
家づくりをする際は、土地を買う前に、家づくり全体の予算計画を立てておくのが鉄則です。怠ると、家づくりの最後のほうで資金が足りなくなります。
家づくりの大ざっぱな流れ(=お金が出ていく順番)は以下のとおりです。
- 土地購入
- 建築工事
- 外構工事
土地にお金を使いすぎると、理想の家を建てられなくなります。土地や家にお金を使いすぎると、お庭や玄関アプローチの工事の段階で資金不足になります。
狭い土地のほうが安い、とは限りません。家や外構にもこだわりたい人は、ちゃんと予算の配分を決めてから土地を探し始めるようにしてください。
【まとめ】各面積の関係をおさえておけば、70坪の土地を有効活用できる
70坪の土地に建てた家の間取りや、敷地面積と延床面積の関係をご紹介しました。本稿の情報をヒントに、ぜひ理想の間取りをつくってください。
広い土地は、魅力がいっぱいです。平屋を建てたり、たくさんの車が止められる駐車スペースをつくったりできます。広いお庭も、設けられますよ。
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