建築条件付き土地とは?メリット・デメリット・購入の注意点を解説
住まいづくり
土地探しをしていると、「建築条件付き土地」という表示を目にすることがあります。「普通の土地と何が違うの?」「安いけれど、何か制約があるの?」と、疑問に思う方が少なくないでしょう。
建築条件付き土地はメリットが多く、うまく活用すると家づくりをスムーズに進められます。一方で、注意点を知らずに進めてしまうと、後悔につながることもあります。
そこで本稿では、建築条件付き土地の基本的な仕組みやメリット・デメリット、向いている人の特徴まで分かりやすく解説します。土地探し中の方に役立つヒントが満載です。
建築条件付き土地とは?

まずは、「建築条件付き土地とは何か」を正しく理解しましょう。
仕組みを知ることで、なぜ価格が抑えられているのか、どんな点に注意すべきかが見えてきます。
建築条件付き土地の特徴・仕組み
建築条件付き土地とは、その名のとおり建築に関する条件を付けて販売されている土地のことです。
一般的には「指定の施工会社」と「一定期間内に建築請負契約を結ぶこと」を条件に販売されているケースが多いです。
▼指定の施工会社で建築する必要がある
建築条件付き土地を買うと、建てる会社を自分で選ぶことができません。基本的には、土地の売主や、売主が指定するハウスメーカー・工務店が建築工事を担当します。
「この会社に建築を依頼する」という前提で土地を買う形になるため、事前にその会社がどんな家を得意としているかを確認することが大切です。
▼一定期間内の建築請負契約の締結が求められる
もうひとつの大事なルールが「時間」です。
土地の売主と売買契約(不動産売買契約)を締結してから、一般的に1~3か月以内には建築会社と契約(建築請負契約)を結ぶ必要があります。
そのため、短期間のあいだに集中して必要な打ち合わせや契約の締結に取り組む覚悟が求められます。
▼「建築条件」は外せるか?
では、建築条件を外して土地だけ販売してもらうことは可能なのでしょうか?
建築条件付き土地は建物代を主な収入減とし、土地を相場より安くしているケースがほとんどです (詳しくは後述)。そのため、交渉できる場合もありますが、基本的には難しいと考えておきましょう。
まずは、建てる会社を確認しましょう。その会社のカタログやホームページを見て、自分の好みに合いそうかチェックすることから始めてみてください。
土地価格が抑えられている理由
建築条件付き土地は、周辺の似たような土地に比べて少し安く設定されていることがよくあります。
なぜ安くできるのか ⸺ それは「土地で儲けなくても、家を建てることで利益が出る」仕組みになっているからです。
これが、先ほどご説明した建築条件を外せない理由に直結しています。
▼建物代が主な収益源
建築条件付き土地の売主は、建物を建てることでしっかり利益を得る計画を立てています。
そのため、土地はやや安めに設定されています。家づくりのスタートとなる土地購入のハードルを下げることで、幅広いお客さまとつながれるようにしているのです。
建築条件付き土地を購入する場合は、土地と建物を合わせた総額で「自分の予算に合うかどうか」を判断しましょう。
▼不動産仲介手数料がかからないケースが多い
もうひとつのポイントは、土地を売主から直接買う形になれば「仲介手数料 (土地代の3%+6万円など)」が不要になるところです。
土地は高額で、それに伴い仲介手数料も高額になります。ですから、仲介手数料が不要になれば、初期費用を抑えたい方にとっては大きなメリットになります。
建築条件付き土地を購入して家を建てる流れ
建築条件付き土地では、土地の売買契約と建物の建築請負契約を段階的に進めていきます。
一般的な流れは ⸺
- 土地の売買契約
- 建物プランの打ち合わせ
- 建築請負契約
- 住宅ローン手続き
- 着工
という順番です。
ポイントは「建物プランの打ち合わせ」です。先述のとおり建築請負契約まで期限が設けられているため、スピード感が求められます。
その分、打ち合わせの回数や内容があらかじめ整理されているケースも多く、迷いにくいという側面もあります。
安いだけじゃない!建築条件付き土地の3つのメリットとは

「制限があるのに、どうして建築条件付き土地は人気なの?」と思うかもしれません。じつは、注文住宅のハードルをグッと下げてくれる「嬉しいメリット」が3つあります。
- 建売住宅よりも設計の自由度が高い
- 建築中の様子を確認できる
- 窓口が一本化されることにより手間が削減される
それぞれ詳しく解説します。
建売住宅よりも設計の自由度が高い
建売住宅は、販売時点で間取りや主な仕様が決まっています。一方、建築条件付き土地に建てる家は、建売住宅よりも間取りや仕様の自由度があります。
建築条件付き土地は「ある程度は間取りや仕様にこだわりたい」という方にとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
ただし、限られた時間で打ち合わせを終えるため、注文住宅ほどの自由度はないのが一般的です。自由度の範囲を確認し、自分たちの希望がどこまでかなうかチェックしましょう。
建築中の様子を確認できる
建売住宅の場合、基礎の中の配筋や壁の中の断熱材がどうなっているか、確認することは難しいです。
一方、建築条件付き土地は、注文住宅のように建築中の現場を自分の目でチェックできます。これは、すでに完成した状態で販売される「建売住宅」にはない大きな安心材料です。
ぜひ現場に足を運び、職人さんともコミュニケーションを取りながら、家づくりを楽しんでください。職人さんの背筋も伸びるでしょう。
窓口が一本化されることにより手間が削減される
建築条件付き土地なら、土地と建物の相談先が一本化されるため、手続きの負担が軽くなります。
土地は不動産会社、建物は建築会社 ⸺ と分かれていないため、調整や連絡がスムーズです。初めて家を建てる方にとっては、大きなメリットになります。
家づくりに不慣れな方ほど、この「分かりやすさ」は大きなメリットになります。
知っておくべき「建築条件付き土地」のデメリット・注意点

メリットの多い建築条件付き土地ですが、デメリットもあります。あとから「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないために、しっかり確認しておきましょう。
- 施工会社を選べない(比較検討できない)
- 不動産売買契約から建築請負契約までの期間が短い
- 建売住宅に比べて住宅ローンの手続きが煩雑になる
それぞれ詳しく解説します。
施工会社を選べない(比較検討できない)
建築条件付き土地は、指定された会社以外の建築会社で建てることは原則としてできません。
たとえば「どうしてもSNSで見つけたあの有名な建築家に頼みたい!」「最新の超高断熱なA社の家がいい!」というこだわりがあっても、諦めるしかありません。
また、一社限定の契約になるため、価格競争が起きにくいという側面もあります。他の会社の見積もりと比較して「あっちの方が安かったから下げて」という交渉もしにくいのが実情です。
「この会社に一生住む家を任せられるか?」という視点で、その会社の建てた家を見学してみましょう。会社との相性がよければ、このデメリットはなくなります。
不動産売買契約から建築請負契約までの期間が短い
建築条件付き土地は、土地の売買契約してから建築請負契約を結ぶまでの期間が短いため、テキパキと判断していく必要があります。
一般的に「1~3か月」程度に設定されているケースが多いでしょう。この期間は、家づくりへの集中が求められます。
▼土地契約から建築請負契約まで約3か月が一般的
「3か月」という期間は、家づくりにおいてはあっという間です。毎週のように打ち合わせをおこない、間取りや仕様をどんどん決めていかなければなりません。
ですから、週末の予定が家づくりの打ち合わせで埋まってしまうことも覚悟しておく必要があります。迷いすぎると、すぐに期限が来てしまいますので、ご注意ください。
「3か月で決められるかな?」と不安な方は、土地を契約する前から、理想の間取りのイメージを家族で話し合っておきましょう。
▼建築請負契約が成立しなかった場合、土地契約は白紙に
もし間取りや仕様に納得がいかず、3か月以内に建築請負契約が結べなかった場合は、土地の契約自体を「白紙」にできる場合があります。
一般的には預けていた手付金なども全額戻ってきますので、無理やり契約させられる心配はありません。土地の売買契約の際に、そのような特約が付いているか確認してください。
建売住宅に比べて住宅ローンの手続きが煩雑になる
建築条件付き土地の購入では、土地と建物の支払いが別々になるため、ローンの組み方が少し複雑になります。そのため、少し手数料がかかったり、手続きの手間が増えたりします。
建売住宅なら「土地+家」で一本のローンです。一方、建築条件付き土地は「まず土地の代金を払い、あとから建物の代金を払う」という2段階の手順になります。
したがって「つなぎ融資」という一時的なローンを借りたり、住宅ローンの実行を2回に分けたりする工夫が必要です。
お金のことは、早めに銀行や不動産会社に相談しましょう。「建築条件付きの場合、いつ、いくら必要になるか」のスケジュール表をつくってもらうと安心です。
建築条件付き土地が向いている人・向いていない人

ここまで読んで、「自分には合っているかな?」と迷っている方へ。向いている人とそうでない人の特徴をまとめました。
向いている人
建築条件付き土地は、以下のような人に向いています。
- 特定の地域でどうしても住みたい場所がある人
- ゼロから会社を探すよりも、ある程度決まった選択肢から選びたい人
- 土地代を抑えて、その分を建物や家具の予算に回したい人
- 忙しくて、土地と建物の窓口をバラバラにするのが負担な人
もしこれらに当てはまるなら、建築条件付き土地はあなたにとって「正解」である可能性が高いです。ぜひ前向きに検討を進めてみてください。
向いていない人
一方、以下の人には向いていないかもしれません。
- すでに「この会社で建てる!」と心に決めたメーカーがある人
当てはまる場合は、建築条件なしの「一般の土地」を粘り強く探すことをおすすめします。時間はかかりますが、そちらの方が後悔のない家づくりができるはずです。
【まとめ】建築条件付き土地は長所・短所を理解して選ぶことが大切
「建築条件付き土地」には、よい土地を安く手に入れ、スムーズに家を建てるための工夫が詰まっています。大切なのは条件を「縛り」と捉えるのではなく、合理化策として活用することです。
指定の建築会社のことを好きになれるか、そして3か月という期間を家族で走り抜ける準備ができているか。この2点さえクリアできれば、あ憧れの場所でマイホームを手に入れられるでしょう。
あなたは、建築条件付き土地に興味が湧きましたか?それとも、一般の土地がいいですか?一生に一度の家づくり。本稿を参考に、ぜひ悔いのない選択をしてください。

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