1.5階建てとは?平屋と違う?メリット・デメリットや間取りの実例を紹介
住まいづくり
近年、平屋人気が続いています。なぜなら動線がシンプルで、家事がラクになるだけでなく、老後に足腰が弱ったとしてもすべてのお部屋をフル活用できるからです。落ち着いた外観もいいですよね。
しかし、平屋にもいくつか弱点があります。あなたも「平屋を建てたいけど、大きな土地が要るしなぁ」とか「平屋は、けっこうコストアップするって聞いた」と不安を感じていないでしょうか?
そこで昨今注目されているのが、平屋と2階建てのいいところ取りをした「1.5階建て」です。本稿では、1.5階建てについて詳しく解説します。平屋にご興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.5階建てとは?平屋と違う?
さて「1.5階建て」とは、どんな建物なのでしょうか?平屋と、どう違うのでしょうか?
まずは特徴からご紹介しましょう。
1.5階建てとは
1.5階建てとは「2階建てだけど、1階部分でほぼ生活が完結する間取りの家」のことです。このような特徴から「準平屋」とも呼ばれます。
たとえば、こんな感じです。
オーソドックスな1.5階建ての家は、LDKや水回り、主寝室を1階に設けます。また、1階で洗濯物を干せるように、テラスをつくったり洗面脱衣室にランドリールームの機能を持たせたりします。
一方、子ども部屋は2階に設けます。ですから、大人は1階部分でほぼ生活できるでしょう。
1階の間取り | 玄関、LDK、主寝室、ファミリークローゼット、洗面脱衣室 (ランドリールーム)、お風呂、トイレなど |
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2階の間取り | 子ども部屋、2階トイレなど |
1.5階建ての家は、平屋より1階部分を小さくできます。ですから、平屋に比べて小さな土地で建築可能です。
1.5階建ての家なら、建ぺい率や容積率の制限が厳しい土地でも、建築できる可能性がありますよ。
建ぺい率 | 敷地面積に対する建築面積の割合のこと。建築面積とは、建築物の外壁、または外壁に代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のこと。 |
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容積率 | 敷地面積に対する建築物の延床面積(延べ面積)の割合のこと。延床面積とは、建築物の各階の床面積の合計。 |
なお「1.5階建て」には明確な定義がありませんので、人によって認識が違う場合もあります。たとえば、1階建ての平屋でも、ロフトや小屋裏収納がある場合は「1.5階建て」と呼ぶことがあります。
「2階建ての1.5階建て仕様」と「平屋の1.5階建て仕様」では、建築基準法上の扱いが変わります。どちらを建てたいのか、よく検討して決めてください。
例をあげると、2025年から2階建ては耐震性の証明(構造計算)が必須になります。一方、200m²以下の平屋は証明を省略できます。
1.5階建てはこんな方におすすめ
あなたは「平屋がいいかな?やっぱり2階建てがいいかな?」と迷っていないでしょうか?そんなときは、1.5階建てがおすすめです。
他にも、こんなときは1.5階建てがぴったりですよ。
- 「年老いて足腰が弱ってきたときのことも考えて家を建てたい!」
- 「平屋を建てると、お庭が取れない……お庭も欲しい!」
- 「所有する土地に平屋を建てたいけど、必要な間取りが収まりきらない!」
- 「安定感があって、なおかつ個性的な外観の家を建てたい!」
上述のようなご要望をお持ちでしたら、きっと1.5階建てが解決してくれます。詳しくは、後述の「1.5階建てならではのメリット」で解説しましょう。
1.5階建てのメリットとデメリット
つづいて、1.5階建ての家の特徴をメリットとデメリットの観点からご紹介しましょう。
1.5階建てならではのメリット
1.5階建ては、平屋と2階建てのウィークポイントをカバーできます。たとえば、こんなところです。
平屋 | しっかり部屋数を取ろうとすると、大きな土地が必要になる。土地から購入する方は、土地代がかさむので、利便性が低い地域を選ばざるを得なくなることも。 |
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2階建て | 年老いて足腰が弱くなると、さまざまな問題が出てくる。2階の部屋を使えなくなるかもしれない。ベランダが2階にあると、洗濯物干しのときに困る。 |
一方、1.5階建てなら平屋より建築面積を抑えられます。ですから、平屋と比べると大きな土地を必要としません。
平屋より、たくさんの敷地をお庭にあてることもできるでしょう。また、建ぺい率が厳しくて平屋を諦めていた土地でも、1.5階建てなら建築できる可能性があります。
1階だけで生活できるところも、1.5階建ての魅力です。ライフスタイルの変化に合わせて、2階建て暮らしから平屋暮らしへと移行しやすいですよ。
- 子どもの成長期や思春期には、2階を活用
- 子どもが独立したら、1階だけで生活する
1.5階建てなら、老後に足腰が弱って2階に上がれなくなったとしても、困らないでしょう。2階は必要最小限の床面積に抑えられますので、老後に使えなくなる部屋を少なくできます。
また、洗濯導線(洗濯する・乾かす・たたむ・収納する)が短くなるため、家事がラクになります。おもな生活の場を1階にしぼることで、冷暖房の効率も向上するでしょう。
ほかにも、こんなメリットがありますよ。
- 個性的なおしゃれな外観にできる
- LDKを勾配天井にして、開放的な空間にできる
- 平屋に比べて採光しやすい
1.5階建ての家は、1階と2階の床面積が大きく異なります。この差をうまく利用することで、個性的でおしゃれな外観にできるでしょう。
また、リビング・ダイニング・キッチンを勾配天井(屋根に沿わせた傾斜のある天井)にすることも可能です。勾配天井にすれば、開放的な空間になるでしょう。
じつは、平屋は採光計画の難度が高くなります。建築面積が大きくなるため、自然光が間取りの中心部まで届きにくいのです。
一方、1.5階建てにすれば、平屋より自然光を取り入れやすくなります。
知っておきたい1.5階建てのデメリット
メリットの多い「1.5階建て」ですが、デメリットもあります。長所と短所の両方を知っておくことで、1.5階建ての家を建てたときの満足度がより高まるでしょう。
たとえば、1.5階建ての家にはこんなデメリットがあります。
- 2階建てに比べて、建築コストが上がりやすい
- 平屋に比べて、耐震性に注意する必要がある
- 老後に足腰が弱くなると、2階部分は使わなくなるかもしれない
どういうことか、解説しましょう。
1.5階建ての家は、平屋よりコストダウンしやすいものの、以下の理由で2階建ての家よりコストアップする傾向があります。
- 大きめの土地が必要 ⇒ 土地取得費アップ
- 基礎や屋根が大きくなる ⇒ 材料費・労務費アップ
- 家の形が複雑化しやすい ⇒ 材料費・労務費アップ
また、1.5階建ての家は、平屋より耐震性の配慮が必要になります。平屋は耐震性能を上げやすいですが、2階建て以上の建物は重心(重さの中心)や剛心(強さの中心)の設計が難しくなるのです。
先述のとおり、2025年から、2階建ては平屋(200m²以下)より耐震のチェックが厳しくなる予定です。1.5階建ても構造上は2階建てですので、耐震のチェックが厳しくなります。
さらに、平屋のように「老後も全室フル活用」とはいきません。2階にある子ども部屋等は、使わなくなる可能性があります。ですから、2階のお部屋は最小限にしておくことが望ましいでしょう。
1.5階建てに取り入れたい間取りとは?
最後に、1.5階建ての家に取り入れたい間取りのアイデアを3つご紹介します。
主要な生活動線を1階で完結させるためには、できるだけ2階部分にお部屋をつくらないことが大切です。ベランダやクローゼット、そしてワークスペースを1階に設けてみてはいかがでしょうか?
実例1:ランドリールーム
ランドリールームとは、洗濯に関する家事をするための部屋のことです。ランドリールームがあれば「洗う・干す・取り込む・アイロンがけ・たたむ」をすべて1室でおこなえます。
ランドリールームが1階にあると、1階と2階の往復移動をグッと減らすことができます。1.5階建てととても相性がいいお部屋ですので、ぜひご検討ください。
実例2:ファミリークローゼット
ファミリークローゼットとは、家族が一緒に使うクローゼットのことです。クローゼットは各私室に分散してつくるのが一般的ですが、それを1箇所に集約したのがファミリークローゼットです。
1階にファミリークローゼットを設けると、子ども部屋のクローゼットをなくすか、小さくできます。その結果、2階の面積を減らせます。
実例3:ワークスペース
1階にご家族共有のワークスペースを設け、お子さまが宿題をできるようにしておくとよいでしょう。子ども部屋の家具は、ベッドと簡単な収納家具だけで済ませられます。
テレワークや副業の普及で、自宅でお仕事される方が増えました。ですから、1階にちょっとしたワークスペースがあると、大人にとっても便利ではないでしょうか。
【まとめ】1.5階建ての間取りで、老後の心配が少ない家を建てよう
1.5階建ての家には、たくさんの長所があります。親御さまは平屋のように1階だけで生活できて、お子さまは2階にプライベートなお部屋を持つことができますよ。
また、平屋のように広大な土地を必要としませんので「平屋は大きい土地が要るから」と諦めていた方にもおすすめです。あなたも1.5階建てで「準平屋ライフ」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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