新築一戸建て・注文住宅の固定資産税はいくら?軽減措置を受ける方法は?
住まいづくり
家を新築する際、初めての固定資産税に不安を感じる方が少なくありません。あなたも「固定資産税って、いくらくらいなの?」「減税する方法はないの?」と気になっていないでしょうか?
もしかしたら、新築と中古、あるいは一戸建てとマンションの税額の差に興味を持たれているかもしれませんね。家計にとっては少なくない負担になりますから、賢く住まいを選びたいものです。
本稿では、そうした固定資産税の基礎知識から軽減措置の概要まで、分かりやすく解説します。固定資産税の要点を把握して、安心して家づくりを進めましょう。
固定資産税とは?なぜ、支払う必要があるのか
そもそも、固定資産税とは、どんな税金なのでしょうか?いくらくらい、納税しないといけないのでしょうか?
固定資産税の概要
固定資産税は地方税の一種で、土地や家屋などの不動産を持っている方が、その不動産がある市町村に納めます。
固定資産税は、税収の使途が定められていない《普通税》です。使い道に関しては、総務省のサイトに以下のように書かれています。
徴収した市町村により、例えば皆さんが毎日使う道路や学校、友達と遊ぶ公園など、日々の生活で利用する公共施設の整備のほか、介護・福祉などの行政サービスにも使われています。
出典:総務省「固定資産税」
新築の場合、固定資産税は《土地》と《家屋》それぞれに課されます。収めるのは、毎年1月1日時点において土地や建物などの固定資産を所有している方です。
納付先は、その固定資産がある市町村です。ただし、東京23区の場合は例外で、東京都に対して都税として納税します。
固定資産税は、市町村の運営に欠かせない財源になっていて、税収全体に占める固定資産税の割合は「約4割」にもなるそうです。
目安金額と評価額を見直すタイミング
固定資産税の納税額の目安をご紹介しましょう。
土地と家屋の合計が《4,000万円》程度の新築住宅の場合、1年目の固定資産税は10~20万円程度になります (詳しい計算方法は後述します)。
ただし、あくまで目安とお考えください。固定資産税の税額は、土地や家屋の評価額、税率、軽減措置の有無などによって大きく異なります。
土地の評価額 | 地価公示価格(国が公表する土地の価格指標)の7割を目途に評価額を計算。土地の広さや所在地などにより上下する。 |
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家屋の評価額 | 再建築価格(評価時点において、同じものを新築した場合に必要となる建築費用)をもとに評価。建物の構造や築年数、床面積などにより上下する。 |
税率 | 標準税率は《1.4%》だが、都道府県や各市町村が設定できるため、地域によって異なる。たとえば、青森市は《1.6%》に設定されている。 |
軽減措置 | 新築住宅や住宅用地など、一定の要件を満たす家屋や土地は軽減措置が適用される。長期優良住宅は、適用期間が延長される。 |
税率や軽減措置は、個人ではコントロールできません。ですから固定資産税を下げたい場合は、家屋を小さくしたり、安い土地を買ったりすることが有効です。
なお、土地や家屋の価値は、経済の状況や経年変化によって変動するため、固定資産の評価額は3年ごとに見直されます。ちなみに、令和6年は評価の更新年にあたります。
支払時期と支払方法
固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税されます。ですから、住宅を取得した翌年度から納税が始まります (取得した年には不動産取得税がかかる)。
たとえば、2024年に住宅を取得した場合、固定資産税の納税は2025年から始まります。例年、4~6月頃に市町村から固定資産税の納税通知書や納付書が届きます。
支払方法や納税期限は、自治体によって異なります。届いた納付書で確認してください。おもな支払方法は、以下のとおりです。
- 市町村や金融機関の窓口
- 口座振替
- ペイジー
- eLTAX(電子納税)
- クレジットカード
- コンビニエンスストア
- 決済アプリ
固定資産税は、一括払い、または年4回の分割払いで納税できます。一括払いで納税しても、割引はありません。
クレジットカード払いや決済アプリ払いにすると、カード会社からポイントを付与される場合があります。ただし、手数料が発生する可能性もありますので、よく確認してから利用しましょう。
固定資産税を滞納すると、延滞金が発生します。延滞金は、滞納した期間に応じて加算されます。
新築一戸建ての固定資産税はいくら?評価額から計算する方法
つづいて、固定資産税の計算方法をご紹介しましょう。その前に、計算の基準となる《評価額》からご説明します。
基準となる評価額の調べ方
固定資産税評価額とは、固定資産税を計算するための基準となる評価額のことです。この評価額に税率をかけて、固定資産税額を算出します。
土地の固定資産税評価額を調べる方法は、おもに3つあります。
- 市町村役場で「固定資産税評価証明書」を取得して確認する
- 毎年4~6月頃に送付される固定資産税納税通知書を確認する
- 国土交通省が公表している地価公示価格を確認する
新築の場合は、地下公示価格を参照することになります。土地の評価額は、地下公示価格の70%を目安にできます。
地下公示価格の代わりに、固定資産税路線価を確認する方法もあります。固定資産税路線価は地下公示価格の70%程度に設定されていますので、自分で計算しなくて済みます。
参考:全国地価マップ
建物の評価額は、建築費などを基準に算出します。新築住宅の場合は、家屋の価格の約60%が目安になります。
土地と建物の固定資産税を計算する方法
評価額が分かったら、実際に計算してみましょう。固定資産税の計算方法を、土地と家屋に分けてご紹介します。
▼土地
土地の評価額は複雑で、4つの基準があり、不動産業界ではこの状態を「一物四価」と呼んでいます。四価の関係をご紹介しましょう。
実勢価格 (時価) | 公示価格の110~120% (地域差がある) |
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公示価格 | 国土交通省が公示している土地の価格 |
路線価 | 公示価格の約80% |
固定資産税路線価 | 公示価格の約70% |
土地の固定資産税の目安は、以下の式で求められます。上述の四課の関係を頭に入れておくと、計算しやすくなるでしょう。
固定資産税額 = 土地の固定資産税評価額 × 標準税率
つまり、1000万円で買えそうな土地なら、評価額の目安は「1000÷1.1×0.7=636.36万円」と概算できます。
四課の関係が理解できていれば、土地の評価額は、地価公示価格や固定資産税路線価からも概算できます。お手すきでしたら、両方の価格を調べて試算してみてください。理解が深まります。
計算式は、以下のとおりです。
a) 土地の評価額の目安 = 土地の面積(m²) × 地価公示価格 × 70%
b) 土地の評価額の目安 = 土地の面積(m²) × 固定資産税路線価
固定資産税の標準税率は「1.4%」です。ただし、自治体によって異なる場合がありますので、不動産を購入される地域の税率を確認してください。
なお、詳しくは後述しますが、小規模の宅地には固定資産税の軽減措置が設けられています。
しかし、土地は家屋のように減価償却ができません。長い目で見るとかなりの固定資産税を支払うことになります。節税したい場合は、安い土地を買うほうが有利です。
▼家屋
家屋の固定資産税は、以下の式で求められます。
固定資産税額 = 建物の評価額 × 標準税率
建物の評価額は家の構造や広さ、経年劣化などの影響を受けます。計算が非常に複雑ですので、自分で試算するのはかなり困難です。
新築家屋の固定資産税の目安を知りたい場合は、家屋の価額の60%を建物の評価額として概算するとよいでしょう。
家屋の評価額の目安 = 購入価額 × 60%
標準税率は、土地と同じく「1.4%」です。やはり自治体によって異なる場合がありますので、ご注意ください。
新築家屋も、築年数や床面積などの条件に適合すれば軽減措置を受けられます。
固定資産税は、新築と中古でどう違う?
固定資産税は、新築と中古でどう違うのでしょうか?―― 新築と中古の固定資産税は《家屋の評価額》による違いがあります。
新築 | 建物の固定資産税評価額は、再建築価格をもとに算出。新築から一定期間、固定資産税を減額する措置が適用される。 |
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中古 | 築年数に応じて減価償却が適用され、新築時の評価額よりも低くなる。新築時の減税期間を過ぎた中古住宅は、軽減措置が受けられない。 |
固定資産税の課税額は、新築時から数年間の減税期間をのぞけば、基本的に築年数が古い家屋ほど低くなります。
ただし、一般的に築年数が古ければ古いほど、家屋の寿命は短くなります。また、新築住宅は住宅ローン減税等も活用できますので、コストについては総合的に判断する必要があるでしょう。
固定資産税は、一戸建てと分譲マンションでどう違う?
では、固定資産税は、一戸建てとマンションでどう違うのでしょうか?―― 一戸建てとマンションの固定資産税は《建物の評価額と土地の所有形態》による違いがあります。
一戸建て | 木造住宅は、耐用年数が22年に設定されている。そのため、評価額が下がるスピードがマンションより早い。 |
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マンション | 鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは、耐用年数が47年に設定されている。評価額が下がるスピードは一戸建てより遅い。 |
長期的に見ると、一般的に木造一戸建ての固定資産税のほうが、マンションよりも安くなる傾向があります。
ただし建物の寿命は、RC造のマンションのほうが、木造一戸建てより長くなる傾向があります。つまり、建て替えや住み替えの頻度は、一戸建てよりマンションのほうが少なくなる可能性があります。
やはりコストについては、固定資産税以外の条件も考慮して、総合的に判断する必要があるでしょう。
一戸建てとマンションは、土地と建物の所有形態も異なります。
一戸建て | 一般的に、土地と建物を個人が所有。 |
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マンション | 専有部分を個人が所有。共有部分は住民全員で共有。 |
マンションの《土地》と《建物の共有部分》は、住民(区分所有者)全員が共同で所有します。その持分割合(所有権の割合)は、各戸の専有面積に応じて決められます。
土地と建物の共有部分の固定資産税は、持分割合に応じて振り分けられます。ですから、マンションの固定資産税の計算は、一戸建てより少し複雑になります。
固定資産税の軽減措置とは
最後に、固定資産税の軽減措置について解説したいと思います。
軽減措置の概要
一定の要件を満たす土地や家屋には、固定資産税を軽減する措置が設けられています。
▼住宅用地に対する軽減措置
住宅用地には「小規模住宅用地の特例」と呼ばれる軽減措置が設けられています。この特例により、200m²以下の土地の固定資産税評価額は「1/6」に軽減されます。
200m²を超える土地の固定資産税評価額も、200m²以下の部分は「1/6」に軽減され、200m²を超える部分は「1/3」に軽減されます。
▼家屋に対する軽減措置
新築の家屋にも、固定資産税の軽減措置が設けられています。適用期間は、以下のとおりです。
- 適用条件を満たす新築住宅:3年間(マンションは5年間)
- 認定長期優良住宅:5年間(マンションは7年間)
適用期間は、一戸建てよりマンションのほうが長くなります。マンションではなく「3階建て以上の耐火構造住宅・準耐火構造住宅」としている自治体もあります。
上述の適用期間内の新築家屋は、固定資産税評価額が「1/2」に減額されます。ただし、以下の適用条件を満たす必要があります。
- 居住部分の割合が2分の1以上であること
- 居住部分の床面積が50m²以上280m²以下の住宅であること
なお、マンションの居住部分の床面積については、「各戸の床面積+廊下・階段等の共用部分の床面積を各戸の床面積割合によってあん分した床面積」で判定されます。
軽減措置を受けるための条件
固定資産税の軽減措置は、住宅を取得したあとの経済的負担を軽くできる重要な制度です。新築住宅の購入や建築を検討中の方は、軽減措置を受けるための条件について事前に確認しておきましょう。
固定資産税の軽減措置を受けるには、各自治体への申請が必要になる場合があります。とくに長期優良住宅は、申請しないと軽減期間の延長が受けられなくなる恐れがあります。
申請方法や必要な書類は各自治体によって異なりますので、担当窓口やホームページ等でご確認ください。
なお、固定資産税の納付通知書が送られてきたら、念のため軽減されていることを確認しておきましょう。内容に疑問がある場合は、自治体の担当課に問い合わせできます。
新築する際は、家の間取りや建築コストに気を取られがちです。しかし住まいには、住み始めたあとも固定資産税等のランニングコストがかかります。
住み始めてから後悔しないように、ランニングコストまで考慮して、土地や住まいを選びたいですね。
【まとめ】家づくりは固定資産税を把握してから始めよう
住宅を購入または建築すると、翌年から固定資産税を納税する必要があります。住宅の所有者が納税した固定資産税は、自治体の運営に欠かせない財源になっています。
固定資産税には、条件を満たす土地や家屋に対して軽減措置が設けられています。家計の負担を軽くするために、固定資産税のポイントや軽減措置の適用条件をしっかり確認しておきましょう。
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