
角地のメリット3選|知っておきたいデメリットや注意点も解説
住まいづくり
家づくりで土地を探していると、よく見かける「角地」。「日当たりがよく、風通しもよさそう」⸺ そんなイメージから、つい惹かれてしまう方も多いでしょう。
実際、角地は開放感や設計の自由度など、他の区画にはない魅力を持っています。一方、費用やプライバシー面での注意も必要です。
本稿では、角地ならではのメリットや、購入前に知っておきたいデメリットを整理してお届けします。土地探しに役立つ知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ人気?角地ならではのメリット3選
角地とは、敷地の2面以上が道路に面している土地のこと。その特性によって、他の区画にはない3つの大きなメリットがあります。
- 日当たりと風通しが期待できる
- 間取り・設計の自由度が高い
- 建築面積を広く確保できる可能性がある
詳しく解説していきます。
日当たりと風通しが期待できる
角地は、日当たりと風通しに優れています。建物の2面が隣家に遮られていないため、大きな窓を設けやすく、光と風を家の中にたっぷり取り込めるのが魅力です。
たとえば南東角地なら朝から午後まで日が差し込み、南西角地なら冬でも夕方まで明るく過ごせます。風通しの面でも、2方面に窓を設ければ自然な換気ができ、湿気や熱を逃しやすくなります。
また、道路に面した方向は視界が広く開け、実際の広さ以上に「ゆとり」を感じられます。
ただし、交通量の多い角地では、道路からの視線や騒音が気になる場合も。窓の位置を高めにしたり、植栽やフェンスで目隠ししたりするなど、設計の工夫が欠かせません。
間取り・設計の自由度が高い
角地は2方向からアプローチできるため、玄関や駐車場の位置を柔軟に決められる点が魅力です。
日当たりのよい方角にリビングや庭を配置したり、道路の少ない側をプライベート空間にしたりと、環境に合わせて最適な間取りを設計しやすいのが特徴です。
また、角地は隣家に面する部分が少ないため、先述のとおり大きな窓を設けやすく、光を取り込む方法の自由度も高まります。
ただし、交差点では「隅切り」と呼ばれる建築制限が設けられる場合があります (詳細は後述)。敷地をフルに活用できないケースもあるため、購入前に建築会社や自治体で確認しておきましょう。
建築面積を広く確保できる可能性がある(角地緩和)
角地は、「角地緩和」と呼ばれる建ぺい率の特例を適用できるケースがあります。適用できる場合は建ぺい率を10%加算でき、建築面積を広く確保できます。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の上限を示す割合のこと。地域ごとに規定されていて、この割合を超える面積の建物は建てられません。
「建ぺい率」や「建築面積」については、以下の記事で詳しく解説しています。どちらも、新築される方にとって重要なワードです。ご関心がある方は、あわせてご覧ください。
たとえば、建ぺい率が50%の地域で角地緩和が適用されると、敷地の60%まで建築できるようになります。
同じ土地面積でも、角地はより広い建物を建てられる可能性があるため、限られた敷地を最大限に生かしたい方には魅力的な区画と言えるでしょう。
ただし、角地緩和の詳細は自治体によって異なります。実際に購入を検討する際は、建築士や市役所の建築指導課に確認しておくと安心です。
知っておきたい角地のデメリット・注意点
角地には多くの魅力がありますが、注意すべき点もあります。購入前に知っておくことで、トラブルや後悔を防げます。
主なデメリットをご紹介しましょう。
- 土地代や外構(建物の外まわり)工事費が高くなりやすい
- 視線対策(プライバシー対策)が必要になる場合がある
- 角地特有の法規制を受ける
順番に詳しく解説します。
土地代や外構(建物の外まわり)工事費が高くなりやすい
角地は人気があり、価格が上がりやすい傾向があります。同じ分譲地でも、北向きの中地(他の土地に挟まれている土地)の区画に比べて10~20%ほど高いケースもあります。
そのため、角地を購入して家を建てると総費用が高くなりがちです。ただしそれだけ需要があるということであり、売るときの価格も高めになるため、一概にデメリットとは言えない側面もあります。
また、外構工事費にも注意が必要です。道路に接する面が多いため、門やフェンスなどの見栄えにも配慮する必要があり、費用がかさむ傾向があります。
外構工事は家づくりの最後になるため、予算オーバーの影響を受けやすい工事です。角地の購入時は、土地代だけでなく、外構費も含めた予算計画を立てておくと安心です。
視線対策(プライバシー対策)が必要になる場合がある
複数の道路に面している「角地」は、往来する人や車から室内をのぞかれやすくなります。そのため、視線を気にしてカーテンを閉めがちになってしまうケースが少なくありません。
まずは視線の気にならない土地を買うことが重要ですが、角地で完全にプライバシーを確保するのは難しいでしょう。ですから、以下のような対策も大切です。
- 道路側の窓を高めに設置(ハイサイドライト)
- 型板ガラス(すりガラス)を採用
- ブラインドなど一定方向の視線を遮れる窓かけを採用
- フェンスや植栽で視線を遮る
開放感とプライバシーを両立する設計を心がけましょう。
角地特有の法規制を受ける
交差点に面する角地は、見通しや安全性を確保するための「隅切り」や、道路の日照を確保するための「道路斜線制限」といった法規制の影響を受けます。
▼隅切り(すみきり)義務
角地の「隅切り」とは、2つの道路が交わる角地において、交差点の角を切り取って道路状にしなければならない規制のことです。隅切り部分は、建物や塀などの建築ができません。
隅切りは、自治体の条例(建築安全条例など)で義務付けられています。そのため、「切り取る長さ」や「義務付けられる道路の幅員」などの基準は自治体によって異なります。
▼道路斜線制限
道路斜線制限は、建物の高さや形を制限し、道路の日照を確保するためのルールです。角地は2方向から制限されるため、このルールの影響をより受けやすくなります。
ただし、道路斜線制限を緩和できる「2A緩和 (2道路緩和)」を適用できる場合があります。適用できれば、広いほうの道路側の条件で高さ制限を計算できるため、建築の自由度が少し上がります。
これらの規制と緩和の具体的な適用条件は、各自治体の条例や建築基準法施行細則で細かく定められています。
土地を購入して新築する際は、必ず事前に自治体の建築指導課や専門家(建築士、建築会社など)を通じて確認することをおすすめします。
そもそも「角地」とは?方角別の特徴は?
角地と言っても、接している道路の向きによって住み心地が変わります。「どの時間帯に日が当たるのか」「どこまでプライバシーを確保できるのか」は、方角によって異なるのです。
ここでは、角地の基本的な定義と、方角ごとの特徴を分かりやすく解説します。
角地の定義・特徴
角地とは、一般的に交差する2つ以上の道路に接している土地のことを指します。
自治体が定める建築基準法関連条例には、より具体的な条件が規定されている場合があります。その条件は自治体によって異なりますが、一般的な基準は以下のとおりです。
- 交差する2方向の道路に接していること
- 接する道路の幅員が一定以上であること(例:4m)
- 敷地の周囲の長さの一定割合以上が道路に接していること(例:3分の1以上)
- 道路の交わる角の内角が一定の角度以下であること(例:120度未満)
お伝えしてきたとおり、角地はその立地特性から、中地にはないメリットとデメリットを持っています。
その両面を把握して、あなたとご家族の価値観にマッチしているか確認したうえで購入することが大切です。
方角別(南東・南西・北東・北西)の特徴
角地は、道路がどの方角にあるかによって、日当たり・通風・プライバシーの状況が変わります。ここでは、代表的な4つの方角別の特徴を見てみましょう。
▼南東角地
南東角地は非常に人気があり、価格も上がる傾向があります。 朝から夕方まで日差しが入り、明るく開放的な家をつくりやすいのが特徴です。
ただし、南側はリビングを配置するケースが多く、道路からの視線を遮る工夫が必要になるでしょう。夏場の強い日差しが入りすぎないよう、庇(ひさし)や遮熱ガラスで調整すると快適です。
▼南西角地
南西角地は、南東角地に次いで人気の高い区画です。昼から夕方にかけて長く日が差し、冬でも暖かく過ごしやすいのが魅力です。一方、南東角地と同様に、南側のプライバシーが課題です。
また、西日の影響を受けやすく、夏は暑くなりやすいため遮熱対策も欠かせません。西側は、窓を控えめにするとよいでしょう。
▼北東角地
北東角地は、朝日が入り、落ち着いた環境をつくりやすい区画です。南面を庭にして余白を取り、東と南から採光を取り入れることで、夕方まで明るさを確保できます。
水回りや玄関を北側に寄せ、リビングを南東にする間取りが好相性です。価格は南向きより控えめですので、購入コストを抑えたい人に向いています。
▼北西角地
北西角地は、南側の角地ほど日当たりが望めないものの、プライバシーを確保しやすい区画です。北東角地と同様に、南側を庭にするか、天窓や吹き抜けを設けて光を取り込むとよいでしょう。
価格は、比較的リーズナブルです。人通りの多い通りに面していても、間取りの工夫で視線を遮りやすいため、プライバシーを守りながら暮らしたい方におすすめです。
区画については、以下の記事でも詳しく解説しています。ご関心がある方は、ぜひあわせてご覧ください。
【まとめ】角地はメリットとデメリットの両面を把握しておこう
角地を選ぶときは、「方角」と「生活スタイルとの相性」を考えるのがポイントです。たとえば、明るさを重視するなら南側、プライバシーを求めるなら北側が向いています。
それぞれの方角の特徴を理解しておくことで、「日当たり、プライバシー、費用」のバランスを取りながら、理想の土地を見つけやすくなります。
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