セカンドハウスを安く建てる方法 – 家づくりの費用を抑えるコツ
住まいづくり
テレワークの定着が進む中で、セカンドハウスの需要が高まっています。あなたも「セカンドハウスを建てたいな」とか「安く建てられないかな」と考えたことがないでしょうか。
じつは、予算を抑えてセカンドハウスを建てる方法があります。費用を抑えた家づくりのコツを知ることで、あなたの夢が実現するかもしれません。
本稿では、セカンドハウスを安く建てるための基本知識から、予算を抑えて建築・維持するコツまで詳しく紹介します。あなたも、本稿の情報を活用してセカンドハウスを手に入れてみませんか。
セカンドハウスを安く建てるための基礎知識
まずは、セカンドハウスを安く建てるために知っておきたい基礎知識から解説しましょう。セカンドハウスのメリットやデメリットも、ご紹介します。
セカンドハウスとは?別荘との違い
セカンドハウスとは、本居以外の定期的に居住するための住まいを指します。テレワークが定着している会社にお勤めの方なら、一度は購入を検討されたことがあるのではないでしょうか。
居住目的のセカンドハウスであれば、住宅としての税制上の優遇措置を受けられる場合があります。各自治体が、居住用であることを認めるための条件を設けていますので、ご確認ください。
よくある条件は、以下のとおりです。
- 継続して毎月1泊2日以上居住すること
- 毎月の利用状況がわかる証明書を添付し、申告すること
一方、別荘は日常生活のためではなく、主に保養のために利用するものを指します (地方税法施行令 第36条)。「長期休暇のときに1週間だけ滞在する」といった、不定期で使う住宅ですね。
別荘は税制上の「住宅」の優遇措置が適用されません。少しでもコストを抑えたいのであれば、別荘よりセカンドハウスとして活用するほうがお得です。
参考:地方税法施行令 第36条
セカンドハウスのデメリット・注意点
つづいて、セカンドハウスのデメリットや注意点をご紹介しましょう。
本居+αの維持コストがかかる
セカンドハウスを持つと、持たなければ必要なかったさまざまなコストがかかります。その代表が、取得コスト(詳しくは後述)でしょう。
他にも、以下の維持コストがかかります。
- 固定資産税・都市計画税
- 住民税の均等割
- 建物や外構のメンテナンス・修繕費用
- 水道光熱費
- 火災保険・地震保険
- 通うための交通費
「住民税の均等割」は、所得に関係なくすべての住民に一定額が課されます。水道光熱費は、使用量にかかわらず基本料金が固定費としてかかります。
不在期間中の防犯対策も、必要でしょう。
住宅ローンを使えない
セカンドハウスは、住宅ローンを使えません。住宅ローンは「契約者が住む主たる住まい」にしか利用できないのです。よって、住宅ローン控除も使えません。
では、ローンで建てたいときは、どうすればいいのでしょうか。―― セカンドハウス用のローンがあります。
ただし、セカンドハウス用のローンは、住宅ローンより少し審査が厳しくなります。金利もやや高くなりますので、できるだけ自己資金を用意していただくほうがいいでしょう。
セカンドハウスのメリット・魅力
つづいて、セカンドハウスのメリットや魅力をご紹介します。
メリハリのある2拠点生活ができる
セカンドハウスがあれば、メリハリのある2拠点生活ができます。たとえば、最近ではテレワークの日はセカンドハウスで過ごし、出勤日は本居へ移動する暮らし方が注目されています。
自然の豊かな場所にセカンドハウスがあれば、景色を眺めながらリラックスしてお仕事ができるでしょう。疲れてきたら、近隣を散策することで集中力を回復できます。
週末はセカンドハウスで生活する暮らし方も、魅力的です。ゴルフや釣り、サイクリングなど、家族とゆったり趣味を楽しむといいでしょう。ウィークデーの疲れを癒やせますよ。
別荘より、税制上のメリットがある
住宅や住宅用の土地は、一定の要件を満たすことで税制上の特例(減税)の対象になります。
先述のとおり、セカンドハウスは自治体が設けた条件を満たすことで「住宅」扱いになります。住宅と見なされると「固定資産税・都市計画税・不動産取得税」などの減税の対象になります。
固定資産税 | 土地 | 200m²以下の部分の課税標準額が1/6に。200m²超の部分も課税標準額が1/3に。 |
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建物 | 令和6年3月31日までに建築された新築住宅は、税額が1/2に (戸建ては3年間、マンションは5年間)。 | |
都市計画税 | 土地 | 200m²以下の部分の課税標準額が1/3に。200m²超の部分も課税標準額が2/3に。 |
建物 | – | |
不動産取得税 | 土地 | 令和6年3月31日まで固定資産税評価額が1/2に。さらに、軽減額(※1)を差し引ける。 |
建物 | 令和6年3月31日まで、要件(※2)を満たす住宅を取得した場合、不動産取得税の税率を3%に軽減 (本則4%)。 |
※1 次のうちいずれか大きいほうの金額
a:45,000円 (税額が45,000円未満の場合にはその金額)
b:土地の1m²あたりの価格 × 住宅の床面積の2倍(200m²が限度) × 税率3%
※2 住宅の延床面積が50m²以上、240m²以下
一方、別荘は上述の減税の対象になりません。ですから、諸税の合計金額が数倍に増えてしまいます。
参考:地方税法 第349条の3の2
参考:地方税法 第702条の3
参考:国土交通省 不動産取得税に係る特例措置
参考:広島県 不動産取得税の軽減(控除・減額)について
セカンドハウスを建てる費用の内訳
さて、セカンドハウスを建てるとき、どんな費用がかかるのでしょうか。費用の内訳を知っておくことで、節約できるポイントが見えてきます。
さっそく、内訳を確認してみましょう。
土地代
注文住宅を建てる場合は、土地を自分で手配する必要があります。
土地代は、住宅取得費の大部分を占め、かつ早い時期に支払いが発生します。ですから、後々発生する建物の建築費や付帯工事費、諸費用とのバランスを考えて購入することが大切です。
ちなみに、いくつかの付帯工事の金額は購入した土地に依存します。購入する土地によっては付帯工事費が数百万円アップするケースもありますので、ご注意ください (詳しくは後述)。
建物の建築費・設計費・申請費
つづいてご紹介するのは、建物本体の建築費・設計費・申請費です。つまり、家そのものを建てるのに必要な費用ですね。
この費用がコストアップする主な要因は、以下のとおりです。
- 工事面積が広い
- 鉄骨造・鉄筋コンクリート造
- 省エネや耐震性などの性能が高い
- 外観や内装のデザイン性が高い
- 外観の形状が複雑
- 3階建て
生活の拠点となる本居は、コストを抑えにくいでしょう。キッチンやお風呂にこだわりたいし、省エネ性能も確保したい。広さも欲しいし、内装や外観も格好よくしたい ―― ですよね?
一方、セカンドハウスならメリハリのある予算配分が可能でしょう。そこで過ごす目的にあわせて、こだわるところと節約するところを見極めたいところです。
付帯工事費
付帯工事とは、建物本体以外の工事のことです。たとえば、以下の工事が「付帯工事」に該当します。
- 外構工事(お庭や玄関アプローチ、駐車場など)
- 道路に埋まっている本管から建物へ水道管を引き込む工事
- 地盤改良工事(軟弱な地盤に建物が沈まないようにする)
- 古家の解体工事費(古家付きの土地を買って建て替える場合)
付帯工事は、敷地によってウン百万円の差が出ます。できるだけ付帯工事費の安く済む土地を探して、購入したいところですね。
諸費用
新築する場合、以下のような諸費用がかかります。
▼土地購入の諸費用
- 登記費用(所有権移転登記)
- 仲介手数料
- 印紙税(不動産売買契約書に貼る印紙)
▼建物建築の諸費用
- 敷地調査費・測量費
- 印紙税(建築工事請負契約書に貼る印紙)
- 登記費用(表示登記、所有権保存登記、滅失登記)
- 火災保険・地震保険
- 家財購入費(家具・家電など)
- 地鎮祭・上棟式費用
- 近隣挨拶の粗品
▼ローンの諸費用
- 印紙税(金銭消費貸借契約書に貼る印紙)
- 登記費用(抵当権設定登記)
- 住宅ローン事務手数料
- 住宅ローン保証料
じつは、諸費用は節約できる費目がほとんどありません。値引きできないものが多いのです。
しいて言うなら、仲介手数料くらいでしょうか。少数ですが、値引きしてくれる不動産会社があります。
予算を抑えてセカンドハウスを建築・維持するコツ
さて、セカンドハウスを新築する際、予算を抑えて建築・維持するにはどうすればいいでしょうか。
先にご紹介した「費用の内訳」の中から「節約するなら、ここが効果的!」というものを厳選してご紹介しましょう。
安価な土地を選ぶ
先述のとおり、土地は住宅取得費の大部分を占めます。ですから、安価な土地を選ぶことで予算を大幅に下げられます。
ただし、敷地が狭いと、思っていた大きさの建物を建てられない場合があります。建ぺい率や容積率を確認して、思いどおりの家が建つ土地を購入しましょう。
土地の広さについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
土地を選ぶときは、維持費の観点も大切です。
安価な土地なら、固定資産税や都市計画税、不動産取得税を下げられます。災害リスクが低い土地なら、火災保険や地震保険の保険金を安く済ませられるでしょう。
延床面積を小さくする
「坪単価」という言葉を聞いたことがないでしょうか?坪単価とは、建物の建築費を建物の工事面積で割った金額のことです。
注文住宅の場合、坪単価が「50~100万円」くらいの家が多いでしょう。つまり、建物の工事面積を1坪減らせば、目安としてそのくらいのコストダウンになるということです。固定資産税も下がります。
セカンドハウスは、建物のこだわりポイントを絞り込みやすいでしょう。こだわりたいところ以外は、できるだけ節約してみてはいかがでしょうか。たとえば、こんな感じです。
- 週末のんびり過ごす家 ⇒ お庭にこだわる、部屋数や広さは必要最小限に
- テレワーク用の家 ⇒ 書斎にこだわる、LDKや寝室は必要最小限の広さに
ぜひ、こだわるところと節約するところのメリハリを付けてコストダウンしてみてください。満足度の高いセカンドハウスになりますよ。
付帯工事費を抑える
先述のとおり、付帯工事費は購入した土地によって高額になることがあります。ですから、できるだけ付帯工事費が上がりやすそうな土地を避けることで、新築コストを節約できます。
では、どのような土地が「付帯工事費が上がりやすい土地」なのでしょうか。特徴の一例をご紹介しましょう。
- 境界の三方にフェンスを建てる必要がある
- 水道の引き込みがないか、引き込まれていても口径が細い
- 道路の交通量が多く、引込工事が夜間しかできない
- 地盤が軟弱なエリアにある
- 古家が建っている(建て替える場合)
ちなみに、2006年以前に建った建物はアスベスト含有建材を含んでいる可能性があります。ですから、解体前の調査が必要で、コストアップしてしまいます。
アスベスト建材が発見されたら、決して安くない除去費用がかかります。安く新築したいのであれば、築年数が古い家が建っている土地は避けていただくほうがいいでしょう。
【まとめ】セカンドハウス(別荘)を安く建て、週末を満喫しよう
自然豊かなところにセカンドハウスがあると、週末にリフレッシュしたり、家族との時間をさらに豊かにしたりするのに役立ちます。テレワークが多い方も、重宝するでしょう。
セカンドハウスを新築すると、高額な費用がかかるように思えます。しかし、適切な知識と計画があれば、コストを節約して建てることが可能です。維持費も下げられます。
理想のセカンドハウスを手に入れるために、ぜひ本稿の情報をご活用ください。あなたも、今日からセカンドハウス建築計画をスタートしてみませんか。すてきな2拠点生活を手に入れてください。