分譲地は2区画まとめて購入できる?デメリットや注意点はある?
住まいづくり
「この分譲地、2区画まとめて買えたら理想なのに」⸺ そう考えたことはありませんか?じつは、分譲地は2区画まとめて購入することが可能です。
2区画の購入は、間取りやお庭を充実させたい方にとって、理想を実現するための有効な選択肢となります。ただし、売主の方針やコストなど、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
本稿では、分譲地2区画の購入の可否から、知っておきたいメリット・デメリット、そして購入時の注意点まで分かりやすく解説します。
分譲地は2区画まとめて購入できる?1区画しかダメ?

分譲地を、2区画まとめて購入することは可能です。ただし、どんな土地でも自由に2区画買えるわけではありません。
購入の可否は、売主(デベロッパーやハウスメーカーなど)の方針や、分譲地全体の計画によって判断が分かれます。
まずは「できるケース」と「できないケース」を整理しておきましょう。
売主が売ってくれるのであれば問題ない
売主の同意が得られれば、隣り合う2区画をまとめて購入することは、原則として問題なくできます。
▼区画の線引きは「販売計画」によって決まる
分譲地はもともと、広い土地を開発業者が一括で取得し、販売しやすい大きさに区切ったものです。
そのため、区画の境界は「売りやすさ」や「需要」に合わせて設定されています。法律などで、1区画の大きさが制限されているわけではありません。
▼2区画を1つの敷地として建てることもできる
2区画をまとめて購入して、1棟の建物を建てる場合、建築では「2区画を合わせた全体」を1つの敷地として扱うことができます。
建築前の「建築確認 (行政の建築許可審査)」でそのような土地の利用方法が認められれば、問題なく家を建てられます。
ですから、気になる分譲地があれば、まずは遠慮せずに「2区画まとめて購入したい」という意向を売主に伝えてみましょう。その際、できれば理由も添えると話がスムーズです。
たとえば「50坪以上の家を建てたい」「家庭菜園を楽しめる庭が欲しい」など、希望の暮らし方を伝えることで、売主も売却の可否を判断しやすくなります。
売主から断られるケースもある
一方で、売主から2区画の購入を断られるケースもあります。これは、売主のビジネス戦略や分譲地全体の「街づくり計画」が関係しています。
たとえば、その分譲地が「コンパクトな戸建てを並べて、手の届きやすい価格帯を実現する」というコンセプトで開発されている場合です。
2区画分を使った大きな住宅が建ってしまうと、「町並みの統一感や価格バランスが崩れてしまう」と判断されることがあり、断られる可能性があります。
なお、2区画まとめて販売した実績がある分譲地であれば、売主も対応経験があるため、話がスムーズに進みやすいでしょう。そのような分譲地を狙うのも、現実的でおすすめの方法です。
分譲地をまとめて2つ買うデメリット

分譲地を2区画まとめて買うのは魅力的ですが、広くなる分だけコストも増えます。
では、どんなコストに注意すべきでしょうか?主なものをご紹介しましょう。
- 取得費
- 固定資産税
- 外構(お庭や駐車場など)工事費
詳しく解説します。
取得費や固定資産税などのコストが増加する
分譲地を2区画まとめて購入すると、購入時とその後の維持コストの両方で費用負担が大きくなります。
たとえば、土地代と諸費用が増えるほか、毎年納める固定資産税も増えます。軽減措置の適用範囲が変わる可能性もあるため、注意が必要です (詳しくは後述)。
▼購入時の初期コストが増える
土地を2区画分購入すれば、その価格が単純に増えるだけでなく、登記費用や不動産取得税などの初期コストも比例して上がります。
登記費用には司法書士報酬や登録免許税などが含まれ、これらは土地の評価額や筆数(区画数)によって決まるため、購入区画が増えるほど高くなります。
▼固定資産税の優遇が小さくなる
さらに、固定資産税も土地面積に応じて増えます。広い土地では「固定資産税の軽減措置」が一部しか適用されなくなる点にも注意が必要です。
住宅用地には次のような税の特例があります。
- 200m²以下の部分(小規模住宅用地) ⇒ 課税標準が価格の6分の1に軽減
- 200m²を超える部分(一般住宅用地) ⇒ 課税標準が価格の3分の1に軽減
たとえば、1区画が150m²の場合、1区画購入ならすべて「小規模住宅用地」となり、もっとも高い軽減率(6分の1)が適用されます。
しかし2区画(合計300m²)になると、200m²までは6分の1軽減、残りの100m²は3分の1軽減 ⸺ つまり、100m²分は軽減率が下がり、その部分の税額が約2倍になるのです。
2区画の購入を検討するときは、初期費用だけでなく、継続的にかかる費用まで含めた資金計画を立てておくと安心です。
外構(お庭や駐車場など)工事費用が追加でかかる
土地の面積に比例して、外構工事の費用も増える傾向があります。
外構費用は「施工面積」と「資材の量」に比例します。2区画分の土地を購入すると、敷地面積が大きく増えるため、以下のように費用も増えやすくなります。
- 境界線が長くなり、フェンスの長さも増える
- 植栽や舗装の面積が広がるため、工事費が増える
2区画を購入すると、隣地や道路に接する部分が長くなり、フェンスや塀の設置距離も伸びます。その分、資材費と施工費が増加します。
また、建物以外の部分の整備コストも上がります。たとえば庭部分には芝生や植栽、給排水設備工事が必要です。駐車場を増やすなら、コンクリート舗装やカーポートの費用も追加されます。
外構工事は家づくりの終盤ですので、予算不足に陥りやすい工事です。予算不足を防ぐには、建物本体の予算だけでなく、外構工事費も総予算に組み込むことが大切です。
分譲地をまとめて2区画買うメリット

まずは、デメリットをご紹介しました。一方で、2区画まとめて購入することには、さまざまな魅力があります。
ここでは、とくに大きなメリットを2つご紹介します。
- 理想の間取りを実現しやすく、二世帯住宅にもぴったり
- 庭や駐車場などの屋外スペースをより多く確保できる
それぞれ、詳しく解説します。
理想の間取りを実現しやすく、二世帯住宅にもぴったり
2区画の購入は、間取りやお庭を広く取り自由に設計したい方にとって、実現の可能性を高めてくれる選択肢です。
▼空間設計の自由度が一気に広がる
一般的な分譲地(1区画)は、30坪前後の家を建てる想定で区切られているケースが多いでしょう。そのため、部屋数や収納スペースに制限が出やすいのが実情です。
一方、2区画を購入すれば、空間設計の自由度が一気に広がります。都市部では諦めがちな「広いリビング」「ゲストルーム」「大容量のパントリー」なども、無理なく実現可能でしょう。
▼完全分離型の二世帯住宅も実現しやすい
親世帯と子世帯で生活空間を分ける「完全分離型」の二世帯住宅では、玄関・キッチン・浴室などをそれぞれに設ける必要があります。
1区画の中でこれを実現するのは難しいですが、2区画分の広さがあれば実現しやすいでしょう。お互いのプライバシーを保ちながら、快適に共存できる住まいをつくることができます。
▼採光・通風・プライバシーが向上する
土地に余裕があると、プライバシーを確保しやすくなるため、大きな窓を設置して自然光を取り込みやすくなります。隣家との間に空間ができると、風も流れやすくなるでしょう。
結果として、建物のデザインだけでなく、住環境そのものの質が大きく向上します。光と風を感じながら過ごせる、心地よい住まいが実現します。
間取りやライフスタイルにこだわりがある方にとって、2区画の購入は理想をかなえる有効な手段になります。ハウスメーカーにも相談しながら、最適な土地の買い方を検討してみましょう。
庭や駐車場などの屋外スペースをより多く確保できる
2区画の購入には、屋外スペースをしっかり確保できる、という大きなメリットがあります。
複数台の車をゆったり停めたり、大きな庭やテラスを設けたりと、住まいの楽しみ方が広がります。
▼駐車スペースにゆとりが生まれる
都市部の分譲地では、1台分の駐車スペースしか確保できないのが一般的です。そのため「来客時や、荷物の積み下ろしのときに困る」と悩むご家庭が少なくありません。
しかし、2区画をまとめて購入すれば、駐車スペースに余裕が生まれます。車の乗り降りや荷物の出し入れがしやすくなるほか、来客用のスペースも確保できるため、路上駐車を避けられます。
また、ビルトインガレージやカーポートを設けても、建物の面積を削らなくて済むでしょう。
》ビルトインガレージとは?メリット・デメリットや注意点を紹介
》一戸建ての駐車場スペースのサイズ – 必要な広さ(幅・長さ)は?
▼庭やテラスでアウトドアを楽しめる
2区画あれば、広い庭やテラスなどを設けて、屋外で過ごす時間を楽しむことができます。物置も設置しやすく、アウトドア用品やガーデニング道具の収納に困りません。
家族でバーベキューをしたり、子どもやペットが安心して遊べるスペースをつくったりして、家の外でも充実した時間を過ごせます。こうした「屋外時間」が、暮らしにゆとりをもたらしてくれます。
広い土地では、建物をどこに配置するかによって庭の使い勝手が変わります。設計の際、間取りだけでなく建物の配置にもこだわることが、失敗しない広い屋外空間づくりの鍵です。
》広い庭にはどんなメリットとデメリットがある?有効活用する方法5選
》新築で家庭菜園つきの家を建てたい方必見!必要な庭の広さと3つの注意点
分譲地を2区画買う前に知っておきたい注意点とは

2区画の購入には多くのメリットがありますが、購入前に確認しておきたい注意点もあります。
ここでは、トラブルを避けるために知っておきたい社会的・実務的なポイントを整理します。
ご近所と良好な関係を築けるように配慮しよう
一方、2区画まとめて購入する場合は、周囲との関係づくりに「一定の配慮」が求められます。
ご近所とのトラブルは、土地の広さそのものではなく、コミュニケーションのあり方から生じることがほとんどです。
地域の一員として穏やかに関わり、マナーを欠かさなければ、問題になることはまずありません。
必要に応じて地域行事や自治会活動に参加することで、自然に信頼関係を築けるでしょう。
長期的な視点から、登記の方法を検討しよう
登記上では、土地は「筆 (ひつ)」という単位で数えられます。2区画を購入した場合、「2筆のままにする」か「合筆して1筆にする」かを選べます。
この選択は、将来の売却・相続・税金などに影響するため、必ず不動産会社や税理士などの専門家に相談して決めましょう。
▼登記上の土地と建築上の敷地は考え方が異なる
建築基準法では「一敷地一建物」が原則です。つまり、1つの敷地には1棟の家しか建てられません。
では、2区画を購入した場合はどうなるのでしょうか?
登記上は2筆の土地でも、所有者が同じで隣接している場合は、建築基準法上では1つの敷地として扱うことが可能です。反対に、広い1筆の土地を2つの敷地に分け、家を2棟建てることもできます。
つまり、「登記上の土地」と「建築上の敷地」は見方が異なるということです。2区画買った場合の登記では、2筆の土地のままにしておくか、それとも1筆に「合筆」するか、選択できます。
▼2筆のままにする場合のメリット・デメリット
2筆のままにする場合は、売却や相続の際の選択肢が広がります。たとえば「片方の区画だけ売る」や「兄弟に1筆ずつ相続させる」といった柔軟な対応が可能です。
一方、登記手続きや管理がやや煩雑になる場合があります。住宅ローン審査時に、金融機関によっては「合筆」を求められるケースもあります。
▼合筆して1筆にする場合のメリット・デメリット
合筆して1筆にする場合は、売買・登記の手続きがシンプルになり、管理が容易です。登記費用や手続き上の労力も抑えやすいでしょう。
一方、土地の状況によっては「評価額」が上がり、固定資産税が増える場合があります。たとえば、合筆で利便性が上がると見なされると、評価が見直される場合があります。
典型的な例は、以下のような土地が、合筆で「形が整っている土地 (整形地)」となるケースです。
- いびつな形の土地(不整形地)
- 道路に面する部分が狭い土地(間口狭小地)
- 間口に対して奥行が非常に長い土地(奥行長大地)
参考:固定資産税評価のあらまし「画地計算法の適用」(p10)
登記の方法は、購入時だけでなく将来の運用や相続を見据えて検討することが大切です。
判断に迷う場合は司法書士や土地家屋調査士などの専門家に相談し、メリット・デメリット、そして費用を確認してから最適な方法を選びましょう。
【まとめ】分譲地の2区画購入は理想の暮らしをかなえる選択肢のひとつ
2区画の購入は、単なる贅沢ではなく、暮らし方を自分で選ぶという前向きな選択です。理想の間取りやゆとりある屋外空間を実現するための、有効な選択肢です。
一方で、コストや登記、地域との関わり方などで注意が必要な側面もあります。不安なときは専門家に相談しながら、家族にとって最適な土地の購入方法を検討しましょう。

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